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HN:飛鳥(あすか)
「世の中すべて広く浅く」
ぬるく生きています。



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ほい。更新しないのもなんなので、追加。

前置きで書くことも特にないので、読む人はつづきからどうぞ。


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 日も沈みかけた時間、レンはひとり「長鳴鶏の宿」の部屋で悩んでいた。
近くにリンは居ない。二人で昼食を取った後別れて、まだ戻ってきていない。
リンが男に助けてもらったというあの事件から、どうも様子がおかしいのだ。
話をしたギルドで聞きそびれてからはそのまま聞けずにいる。
「もしかして、助けてもらった男に惚れたの?」
その質問ができないままでいた。
レンは妹リンのことになると少々見境がなくなる。周りからは過剰だといわれていて自分でも理解はしているが、それが早々簡単に直せるわけもない。
助けた男がどんな人物だったのかは分からない。あれからその話自体をレンがしないからだ。
どうせもう一度会える保障もないのだから、このまま放っておけば次第に忘れていく。そう考えてもいるのだが、レンとしては一度気になってしまったことをそのままにはしておけない性格でもあった。
レンがここまで悩むのは、リンに対する思いもあるが、今までリンが男に対してそういう気持ちを抱いたことをレンに見せたことが無かったからだ。
「どうしたら……」
そうつぶやきながら悩むレン。
「あの子、まだ街を回っているのかしら」
そろそろ帰ってきてもいい時間なのに戻っていないレンを思いながら、悩むレン。
「それにしても、どんな男? リンがあそこまでなるなんて……」
考えれば考えるほど余計気になってくる。
「ろくでもない男なら、本気で殴ってやる」
終いには、姿も分からない男に対して怒りの感情を抱く。
「はぁ、とりあえずこれはこれとして……」
悩みというの大方リンのことなのだが、それだけではなかった。

レンとリンはただの観光客ではなく、冒険者としてこのエトリアへ来ている。
それはもちろん、エトリアに存在する『世界樹の迷宮』へ入るためだ。
しかし、まだギルドへは入っていない。
当初は二人で入るつもりだったが、街での情報収集と執政院ラーダでの話を聞いて、ほかのギルドへ入ることを決めた。
そう、決めたのだが……。
「もう、何で世界樹に潜るギルドが……」
レンは肩を落とすと思いきや、いきなり立ち上がり
「い・な・い・の・よー!!」
叫びながらベッドに置いてある枕をぼこぼこ殴り始めた。
ギルドへ入ることを二人で話合ったが、探せないままずるずるとここに滞在していても仕方が無いと考えていたレンは、滞在時間を3日と考えていて、その間に同行者が見つからなければエトリアを去ると決めていた。
そんな今日が滞在2日目。
「金鹿の酒場」で一応話はつけてきたものの、連絡は一向に無い。
負けず嫌いなところがあるレンは、当初決めていた3日という期限も覆す勢いだった。
迷宮に入らなければ意味が無い。そう思っていたのだ。
しかし、そうは言っても現実的な話として、滞在するだけでも費用がかかる。
その費用の負担もばかにはならないため、早々に何とかしたいのがレンの本音。
「ふぅ~」
いい加減枕を殴る行為が無意味だと感じたのか、はたまたただ疲れただけなのか、レンは枕をぽいと横に放り投げ、ベッドへ横になる。
「う~ん、う~ん……」
うなりながらひとしきり考えると、むくっと起き上がる。
「夜……か。もう一度マリスさんのところへ行ってみようかな」

姉がそんなことを考えているとは微塵にも思わない妹リンは、街をぐるぐると回っていた。
昼過ぎにギルドを出てから、もう街を何往復としている。
「あの人と、また……」
完全に恋する乙女になっているリン。
リンはもともと感情を素直に表に出せる性格ではなく、常にだれかの後ろに居るような少女で、その“だれか”とは今も昔も姉のレンである。
今まで男性に恋心を抱いたことが無かったリンは、初めて感じる胸の高鳴りに自分が抑えられなくなっていて、居てもたっても居られなかった。
「まだ、まだ……いるかな」
街がだんだんと夕暮れに近付いていく中、リンは街を歩き回る。

中央広場から居住区、執政院近辺からシリカ商店まで、助けてくれた男の姿を思い描きながら歩く。
リンはレンから滞在時間は3日と聞いていた。それは自分でも納得した上で了承した。しかし、まさかこんな事態になるとはリン本人も思っていない。
現在2日目。明日までに会えなければ、もう一生会えないかもしれない。そう思ったリンは、不安と期待を混ぜながら街を歩く。
リンが我がままを言えば、妹の言うことを聞いてしまうあの姉なら、困りながらも滞在時間を延ばしてくれるだろう。
しかしリンがそうしないのは、姉に迷惑を掛けたくないからという姉への思いからきている。
実際姉のほうが滞在時間を延ばそうと画策していることを、リンはこの時知る由もない。
考えながらふらふらと街を歩いていると、夕暮れから夜へと変わってきていた。
「だめかぁ。そろそろ帰らないとお姉ちゃん心配しちゃってるかな」
そう思い、リンは足を宿の方へ向けて歩き出した。
てくてくと宿へ向かって歩いている最中、どうしても諦めがつかないリンは思った。
「あ、もう一度ギルドへ……それからお姉ちゃんのところへ行こう」

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